血管不全の生理学的診断指針
本学会では、血管内皮障害、血管平滑筋機能障害、血管壁代謝異常など動脈硬化の進展に関わる血管の障害を包括的にとらえる「血管不全」という概念を提唱しています。
それらの異常を早期に発見して血管不全を診断し,適切に治療介入することは,血管を健やかに保ち,ひいては脳心血管病の予防につながることが期待されます。しかし従来、血管不全を診断するための明確な基準は設定されていませんでした。
そこで,本学会では、臨床の場で広く普及している血管内皮および血管平滑筋の機能を簡便に測定するための生理学的検査(FMD,RH-PAT,PWV,CAVI)で血管不全を診断するための基準値を策定し,2019年10月にHypertension誌に発表しました。
今回発刊した「血管不全の生理学的診断指針」は、日本循環器学会との合同編集により、血管内皮不全の指標としてFMD,RH-PATの,血管平滑筋不全の指標としてPWV,CAVIの正常域、異常域、境界域の基準を、日本語でまとめたものです。
広く臨床医の皆様に、実地臨床でお役立ていただけますと幸いです。
ISBN:978-4-89775-425-3
定価1,980円(本体1,800円+税10%)
A4判,40頁
2021年1月18日発行
【編集】日本循環器学会,日本血管不全学会
【発行】ライフサイエンス出版
【関連論文】
血管不全の提唱
Inoue T, Node K. Vascular failure: A new clinical entity for vascular disease. J Hypertens 2006; 24:2121-30. PMID: 170535282
本学会が2018年にまとめた血管不全の生理学的診断指針
Tanaka A, Tomiyama H, Maruhashi T, et al. Physiological Diagnosis Criteria for Vascular Failure Committee. Physiological Diagnostic Criteria for Vascular Failure. Hypertension 2018; 72: 1060-1071. PMID: 30354826
2013年に日本循環器学会がまとめた、血管機能不全の病態生理,血管機能検査の測定原理,測定方法,測定の標準化,臨床的意義,臨床での利用法など
日本循環器学会. 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011-2012年度合同研究班報告): 血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン